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 多くのサイトや書籍でオプションの説明が行われていますので、ここでは構造的側面に焦点をあてて簡単にご説明致します。

 そもそも先物取引はデリバティブの一種として進化してきました。
 先物市場には現物の取引契約の価格変動リスクを回避する機能があります。しかし、先物の投機取引によって収益を求める場合には現物を伴うわけではないので、先物の価格変動がそのまま損益を決定します。この損益における損失(リスク)の部分を切り離して移転してしまったものがオプションです。


プットの取得
 先物を売ると、先物価格が下落するとき利ザヤ(利益)を得ますが、上昇すると損失が出ます。
 この「上昇すると損失が発生するリスク」部分を切り離したものがプット・オプションです。プット・オプションを取得する場合、上昇の損失部分を他の引き受け手に移転して損失を回避できるようになります。
--- コールの取得
 先物を買うと、先物価格が上昇するとき利ザヤ(利益)を得ますが、下落すると損失が出ます。
 この「下落すると損失が発生するリスク」部分を切り離したものがコール・オプションです。コール・オプションを取得する場合、下落の損失部分を他の引き受け手に移転して損失を回避できるようになります。

 さて、絶対に損失が発生しないものに価格は存在するでしょうか?必ず損失が生まれるものに価格が付くでしょうか?

 そこで、オプションを取得してリスクを移転する代わりに、引き受け手にプレミアムを支払うのです。オプションを取得する側がもちろん「オプションの買い手」で、リスクの引き受け手が「オプションの売り手=グランター」となりプレミアムを受け取る代わりにリスクを持ちます。ですから、オプション市場ではプレミアムを取引価格として売買していることになります。買い手が支払い、売り手が受け取るという、一般に取引所で行われる極基本的な取引です。

 あとは、このオプション・プレミアムを評価すればいいのです。


オプション・プレミアムの構成要素

プレミアム理論値の5要素


 オプションの理論値は、次の5つの要素で構成されます。
 ・原資産の価格
 ・権利行使価格
 ・残存日数
 ・金利
 ・原資産の価格ボラティリティ

 原資産というのは、ダウジョーンズ株価指数の先物のオプションの場合だと、ダウジョーンズ株価指数の先物のことです。原油先物9月限のオプションを取引するのであれば原油先物9月限のことです。

 原資産価格が上昇するとき、コールは上昇/プットは下落する相関関係を持っています。逆に原資産価格が下落するとき、コールは下落/プットは上昇する相関関係にあります。しかし、全ての権利行使価格のオプションが一律に相関変動するわけではありません。権利行使価格が原資産価格に近い方がこの相関関係は相対的に強く、原資産価格から遠く離れた権利行使価格で、権利行使する価値がない アウト・オブ・ザ・マネー のオプションは相対的に弱い相関関係となります。

 さらにオプションの満期までの残存日数が少ないほど、この相関の相対的な強弱ははっきりしてくる方向に作用します。

 そしてさらに!権利行使する価値のないものが、その限られた残存時間で果たして価値を持つに至るのか、その価値を膨らませるほどに原資産価格は動くのか、その可能性はボラティリティの大小と残存時間で仮に測定しているのですから、ボラティリティは権利行使価格が原資産価格に近い方に、オプション・プレミアムという結果として表れてきます。

 少し乱暴な表現をしましたが、それぞれが相関するイメージを簡単に表しました。

 ここまでで「やっぱり解りにくい」と感じるのは少しもったいないと思います。どうせなら逆の発想で「実はちょっと考えればシンプルな話だ」と思って頂いてもよいかと思うのですが。

 東京から火星までの新幹線の座席指定券のオプションならいかがでしょうか。残存期間1ヶ月のコールなら1円で買う人が出るかどうか。でも満期が100年後なら100円位支払っても買ってみようと思う人が出てくるかもしれません。この座席指定券の権利行使価格が 100億円なら不要でも、1,000円で行使できるなら価値は出そうだと感じる人が増えるかもしれません。残存期間98年も残っているときに、宇宙での新しい建設技術が発明されれば、実現可能性が高まってくるのかもしれません。これはボラティリティになるでしょう。
 いかがですか?


 さて、5つ目の金利については無視してもオプション・トレードには全く (と言っていいはずです) 影響はありません。金利が上昇すると コールのプレミアムが上昇/プットのプレミアムが下落 という相関関係にあるものですが、通常の範囲の金利変動では、顕微鏡で見なければ気付かない程度です。


プレミアムの実勢評価

 オプション・プレミアム=本質的価値+時間的価値

 理論的に5つの要素で測定されるオプション・プレミアムは、とどのつまりは上の等式になります。
 あるオプションを、権利行使したとき発生する利益を「本質的価値」として評価し、残存期間に見出される利益を生み出す可能性を「時間的価値」として評価します。

 上の例に出てきた東京から火星までの新幹線の座席指定券のコール・オプションは、今すぐ権利行使しても利用できませんので、本質的価値は無いということになります。つまり本質的価値 ”ゼロ” です。なぜなら、そんな新幹線は存在してませんから(2008年現在!?)。このコールはアウト・オブ・ザ・マネーなのです。
 一方で、最終満期までの残存期間98年を残していると、もしかしたらこの新幹線が開通するかもしれないという評価が出てきますし、そこに「宇宙での新しい建設技術を開発!」のニュースが飛び込めば、この評価はさらに増大することになります。時間的価値の増加です。オプション・プレミアムは上昇するでしょう。
価値の消滅
 本質的価値が無く、時間的価値も
殆ど無くなってきますと、何のオプシ
ョンでも同じで、ゼロではなくとも実
際には買う人が出てきませんから、
転売しようとしても取引は成立できな
いことになります。

 シカゴ大豆5月限 900セント コールで、原資産のシカゴ大豆5月限 先物が1,200セントなら、このコールはイン・ザ・マネーです。今すぐ権利行使すると 900セントでシカゴ大豆5月限を買うことができる訳ですから、権利行使して得た先物を1,200セントで売ることで 300ポイントの価値をもたらします。本質的価値は ”300” です。
 一方で、満期までの時間的余裕が残り1日では、ストップ高まで上昇しても1回分だけですが、残り1ヶ月あるなら原資産はもっと高騰するという評価が出てくるかもしれませんので、時間的価値は更に大きく評価されて増加してくるでしょう。すると、上の等式の通りオプション・プレミアムは高くなります。


プレミアム評価の相対イメージをつかもう!

 ここで、実際のトレードへ話を移す前に、おさらいの意味をこめて、オプション・プレミアムの相対的な比較をイメージしてみましょう。

条件 比較(低<高)
同じストライクプライスのコール 残存日数が短いコールのプレミアム < 残存日数が長いコールのプレミアム
同じストライクプライスのプット 残存日数が短いプットのプレミアム < 残存日数が長いプットのプレミアム
原資産の価格が上昇した ディープ・アウトのコールの上昇幅 < アウトのコールの上昇幅
原資産の価格が下落した ディープ・アウトのプットの上昇幅 < アウトのプットの上昇幅

 アウトとは、本質的価値を持たないオプションのことで、原資産の価格が100ドルの時にストライクプライスが110ドルや200ドルなどのコール、または95ドルや60ドルなどのプットがアウト・オブ・ザ・マネーです。ディープ・アウトは、より遠く価値を持たないレベルのアウト・オブ・ザ・マネーのことです。

 尚、これらは、あくまでもイメージです。実際のトレードでは、これらに則らない売買が成立するケースもあり得ます。


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